パート・派遣・契約社員でも使える?学び直しの補助・給付制度の条件と確かめ方
この記事の結論:雇用形態ではなく、雇用保険に入っているかと加入期間で決まる
この記事は、パート・アルバイト・派遣社員・契約社員として働いている人が、本業のスキルアップ・資格取得・転職・副業準備のために講座を受けるとき、「教育訓練給付金などの学び直しの制度を使えるか」「何で決まり、どう確かめるか」に答えます。結論は次のとおりです(公式情報、2026年10月15日確認)。
- 教育訓練給付金(厚生労働省)は、雇用形態の名前では決まりません。雇用保険に入っていて、加入期間が足りているかで決まります。加入期間は原則3年以上、初めて受け取る人は一般教育訓練・特定一般教育訓練が1年以上、専門実践教育訓練が2年以上です。
- 雇用保険には、パート・アルバイト・派遣などの名前に関係なく、1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上働く見込みがあれば、原則として加入します(昼間の学生などは例外)。つまり、同じパートでも、週の時間や契約の見込みによって使える人と使えない人に分かれます。
- 経済産業省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」(以下、経産省事業)は、契約社員・パート・アルバイト・派遣社員も対象です。ただし、雇用主が変わる転職を目指すことが条件で、個人への支援は2027年3月31日までです。
- 自分が加入しているかは、給与明細・雇用保険被保険者証・ハローワークで確かめられます。加入していない場合は、勤務先の制度、住んでいる自治体の制度、求職者支援制度の職業訓練を確認します。
以下では、条件が分かれやすい場面(週の労働時間、短い契約の更新、派遣の空白期間、掛け持ち)ごとに、何で決まり、どの書類と窓口で確かめるかを整理します。
教育訓練給付金は「雇用保険の加入」と「加入期間」で決まる
雇用保険に加入する条件
雇用保険の適用事業所で働く人は、次の2つにどちらも当てはまれば、原則として雇用保険の被保険者になります(厚生労働省「雇用保険制度 Q&A~事業主の皆様へ」)。
1. 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
2. 31日以上の雇用見込みがあること
同じQ&Aは、パートやアルバイトなどの雇用形態や、本人・会社が加入を希望するかどうかに関係なく、条件に当てはまれば加入が必要としています。厚生労働省の手引きも、パートタイマーと派遣労働者を、正社員と同じ2つの条件で判断するとしています(厚生労働省「第4章 被保険者について」(雇用保険事務手続きの手引き、PDF))。昼間に学校へ通う学生は、一部の例外を除いて加入しません(同じ手引き)。65歳以上の人は「高年齢被保険者」として加入し、教育訓練給付金の対象に含まれます(ハローワーク「教育訓練給付制度」)。
教育訓練給付金の加入期間の条件
受講開始日までの雇用保険の加入期間が3年以上必要です。初めて教育訓練給付金を受ける人は、一般教育訓練・特定一般教育訓練は1年以上、専門実践教育訓練は2年以上で対象になります。離職している人は、離職の翌日から受講開始日までが1年以内であることも必要です(妊娠・出産・育児・病気などで受講を始められない期間がある場合は、申し出により延長できる)(ハローワーク「教育訓練給付制度」、厚生労働省「専門実践教育訓練の詳細」のQ&A)。
- 加入期間は、勤務先が変わっても通算できる場合があります。今の加入の前の1年以内に別の勤務先で加入していた期間があれば、その期間も数えます。過去に教育訓練給付金を受けたことがある場合、その講座の受講開始日より前の期間は数えません(厚生労働省「専門実践教育訓練の詳細」のQ&A)
- 給付額が4千円を超えない場合は支給されません(ハローワーク「教育訓練給付制度」)。たとえば一般教育訓練(20%)で、受講料などの経費が2万円の講座なら給付額は4千円となり、支給されません(前提:経費の全額が対象になる場合の計算例)
- 受けたい講座が教育訓練給付金の指定講座か、どの区分かは、厚生労働省「教育訓練講座検索システム」で確認できます。3つの区分の給付率・手続きは教育訓練給付金の給付率と上限額の記事で説明しています
今後の変更(予定)
法改正により、2028年10月1日から、雇用保険に加入する条件のうち週の所定労働時間が「20時間以上」から「10時間以上」に変わる予定です。新しく加入する人にも、教育訓練給付などは今の被保険者と同じ基準で支給されると説明されています(厚生労働省「令和6年雇用保険制度改正(令和10年10月1日施行分)について」(PDF))。ただし、教育訓練給付金には加入期間の条件があるため、新しく加入した人がすぐに使えるわけではありません(編集部の補足)。
条件が分かれる場面ごとの確かめ方
正社員以外の働き方で、加入しているか・加入期間が足りるかが分かれやすい場面と、確かめる書類・窓口です。
| 場面 | 何で決まるか(公式情報) | 確かめる書類・窓口 |
|---|---|---|
| 週20時間前後で働くパート・アルバイト | 契約で決まっている1週間の所定労働時間が20時間以上か | 雇用契約書や労働条件通知書の労働時間、給与明細の雇用保険料の欄 |
| 短い期間の契約を更新している契約社員・アルバイト | 31日以上の雇用見込みがあるか。契約に更新する旨の記載がある場合のほか、記載がなくても同じ契約で働く人に31日以上の更新の実績がある場合は、見込みがあると判断される例がある | 雇用契約書の契約期間と更新の有無の記載。判断に迷う場合は、勤務先の所在地を管轄するハローワーク |
| 派遣で働く人 | 派遣元(派遣会社)との雇用について、パートなどと同じ2つの条件で判断する | 派遣元の給与明細の雇用保険料の欄、雇用保険被保険者証。加入期間はハローワークで照会する |
| 派遣と派遣の間などに、加入していない期間がある人 | 前の加入が終わってから次の加入までが1年以内なら、前後の加入期間を通算できる。1年を超えると、前の期間は数えない | ハローワークで教育訓練給付金の支給要件照会をして、通算した期間を確かめる |
| 2か所以上で掛け持ちしている人 | 雇用保険に入るのは、生計を維持するのに必要な主たる賃金を受ける1つの勤務先だけ。2か所の労働時間を合計して加入できるのは、65歳以上の人のマルチジョブホルダー制度だけ(本人がハローワークに申し出る) | それぞれの勤務先の雇用契約書と給与明細。65歳以上の人はハローワーク |
| 条件に当てはまるのに、勤務先が加入手続きをしていないかもしれない人 | 条件を満たしていれば、ハローワークに被保険者であることの確認を請求できる | 本人確認書類と、雇用契約書・給与明細など雇入れが分かるものを持って、勤務先の所在地を管轄するハローワークへ |
根拠:厚生労働省「雇用保険制度 Q&A~事業主の皆様へ」(加入の条件、確認の請求)、厚生労働省「第4章 被保険者について」(雇用保険事務手続きの手引き、PDF)(派遣労働者・掛け持ちの扱い)、厚生労働省「専門実践教育訓練の詳細」のQ&A(加入期間の通算)、厚生労働省「雇用保険マルチジョブホルダー制度について」(65歳以上の掛け持ち。2つの勤務先がそれぞれ週5時間以上20時間未満で、合計20時間以上などの条件)。
自分が加入しているか・加入期間を確かめる3つの方法
1. 給与明細を見る:雇用保険料が差し引かれていれば、加入していると考えられます(編集部の目安。正確な加入の有無と期間は3で確かめます)
2. 雇用保険被保険者証を確かめる:被保険者ごとに番号があり、転職しても同じ番号を使います。手元にない場合は勤務先に確認するか、ハローワークで再交付を申請できます。被保険者番号の照会は、本人確認書類を持ってハローワークの窓口で行い、電話では答えてもらえません(東京労働局「被保険者に関するQ&A」)
3. ハローワークで「教育訓練給付金支給要件照会」をする:教育訓練給付金を受けられる加入期間があるかを照会できます。照会票に記入し、本人と住所を確認できる書類(マイナンバーカード、運転免許証など)を添えて、本人の来所・代理人(委任状が必要)・郵送・電子申請のいずれかで、住んでいる地域を管轄するハローワークに提出します(勤務先の所在地のハローワークではありません。厚生労働省「専門実践教育訓練の詳細」のQ&A、ハローワーク「教育訓練給付制度」)
派遣や短い契約で勤務先が何度か変わっている人は、自分で期間を足し算するより、3の照会で確かめるのが確実です(編集部の提案)。
ほかの制度は雇用形態でどう変わるか
教育訓練給付金以外の制度の対象を、雇用形態の観点で並べます。
| 制度 | パート・アルバイト・派遣・契約社員の扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 経産省事業(受講料が補助事業者を通じて軽くなる) | 企業等と雇用契約を結んでいる正社員・契約社員・パート・アルバイト・派遣社員が対象。雇用保険の加入や週の労働時間の条件は、公募要領の対象者の要件に記載がない。雇用主が変わる転職を目指すことが条件で、他社の正社員やパート・アルバイトへの転職、派遣先での正社員化は「転職」に含まれる。派遣先の変更や、同じ会社の中での正社員化は含まれない。補助事業者への登録時と初回面談時に企業等と雇用契約を結んでいることが必要で、派遣と派遣の間などで雇用契約がない時期は対象外。個人への支援は2027年3月31日までで、受講期間がこの日を超える講座は対象外 | 経済産業省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」六次公募要領、同 よくあるご質問(最終更新2026年4月8日)(No.11・No.12:雇用契約を結んでいることを確かめる時点。No.4:紹介予定派遣を経て派遣先に直接雇用される場合は転職に含まれる。No.8:派遣先を変えたかどうかではなく、雇用主が変わる転職を目指しているかで判断する) |
| 教育訓練休暇給付金(休暇中の生活費の支援) | 雇用保険の一般被保険者が対象で、65歳以上の高年齢被保険者などは対象外。加入期間5年以上などの条件と、就業規則などに定めた休暇制度が必要。給付金の要件に雇用形態の定めはないが、勤務先の休暇制度が対象の社員を雇用形態で限っている場合があるため、就業規則で確かめる | 厚生労働省 パンフレット「教育訓練休暇給付金のご案内」(PDF) |
| 自立支援教育訓練給付金(ひとり親の受講料の支援) | 対象者の要件(ひとり親であること、自立支援プログラムの策定など)に、雇用形態や雇用保険の加入の条件の記載はない。教育訓練給付金を受けられる人には、その額との差額が支給される。受講前に、住んでいる市(町村の人は都道府県)から講座の指定を受ける必要があり、制度を設けていない自治体に住む人は対象外 | こども家庭庁「母子家庭自立支援給付金及び父子家庭自立支援給付金事業について」 |
| 自治体の受講料・資格取得の補助 | 自治体ごとに違う。例:大阪府スキルアップ支援金は、雇用保険に加入したことがない人や加入1年未満の人など、教育訓練給付制度に当てはまらない人が対象。高砂市のリカレント教育支援事業補助金は非正規雇用の人などが対象で、正社員は原則対象外 | 大阪府「大阪府スキルアップ支援金」、高砂市「リカレント教育支援事業補助金」Q&A(PDF、令和8年4月1日時点)(いずれも令和8年度) |
| 求職者支援制度の職業訓練 | ハローワークに求職を申し込んだ、雇用保険の被保険者・受給資格者でない人で、ハローワークが支援の必要を認めた場合に、無料の職業訓練を受けられる。雇用保険に加入していないパートで働きながら正社員への転職を目指す人も、対象の例に挙がっている。月10万円の給付は、本人の収入が月8万円以下で、訓練のすべての実施日に出席する(やむを得ない欠席で証明できる場合は8割以上)などの条件を満たす場合 | 厚生労働省「求職者支援制度のご案内」 |
副業準備のために学ぶ場合の扱いは、制度ごとに違います。教育訓練給付金は、受講の目的についての扱いが公式に記載なしです。自立支援教育訓練給付金は、その講座が適職に就くために必要と認められることが要件で、副業についての記載はありません。経産省事業は、雇用主が変わる転職を目指すことが条件です。
制度ごとの率・上限・期限・併用の可否は、働く人が使える学び直しの補助・給付制度の比較で比べられます。経産省事業の対象講座は、経済産業省の補助金対象リスキリング講座一覧で分野別に確認できます。求職中で職業訓練を探している人は、職業訓練.comで全国の職業訓練コースを探せます。
次にすること
1. 雇用契約書や労働条件通知書で、週の所定労働時間と、契約期間・更新の有無を確かめる
2. 加入している人は、ハローワークで支給要件照会をして、教育訓練給付金を受けられる加入期間があるかを確かめる。派遣や短い契約で勤務先が変わってきた人は特に
3. 受けたい講座が教育訓練給付金の指定講座か・どの区分かを厚生労働省「教育訓練講座検索システム」で確かめ、給付額が4千円を超えるかも計算しておく
4. 加入していない人、加入期間が足りない人は、勤務先の制度、住んでいる自治体の制度、転職を目指すなら経産省事業、求職者支援制度の職業訓練を確認する
5. 週の労働時間や契約の更新について分からないことがあれば、雇用契約書を持って勤務先の人事か、ハローワークに相談する
任意で試せること:給与明細の雇用保険料の欄と雇用保険被保険者証で、自分が加入しているかを確かめてみてください。
公式情報の確認先(2026年10月15日確認)
- ハローワーク「教育訓練給付制度」:対象になる被保険者、加入期間(初回の特例)、4千円を超えない場合は支給されないこと、支給要件照会。
- 厚生労働省「雇用保険制度 Q&A~事業主の皆様へ」:雇用保険に加入する2つの条件、雇用形態に関係なく加入すること、確認の請求。
- 厚生労働省「第4章 被保険者について」(雇用保険事務手続きの手引き、PDF):パートタイマー・派遣労働者の扱い、2か所以上で雇われる人の扱い。
- 厚生労働省「専門実践教育訓練の詳細」:加入期間(支給要件期間)の通算(Q&A)。
- 厚生労働省「雇用保険マルチジョブホルダー制度について」:65歳以上の人の掛け持ち。
- 厚生労働省「令和6年雇用保険制度改正(令和10年10月1日施行分)について」(PDF):2028年10月1日からの週10時間以上への変更。
- 東京労働局「被保険者に関するQ&A」:雇用保険被保険者証、被保険者番号の照会。
- 厚生労働省「教育訓練講座検索システム」:指定講座の検索。
- 経済産業省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」六次公募要領・同 よくあるご質問(最終更新2026年4月8日):対象になる働き方、雇用主の変更を伴う転職の範囲(No.4・No.8)。
- 厚生労働省 パンフレット「教育訓練休暇給付金のご案内」(PDF)、こども家庭庁「母子家庭自立支援給付金及び父子家庭自立支援給付金事業について」、厚生労働省「求職者支援制度のご案内」、大阪府「大阪府スキルアップ支援金」、高砂市「リカレント教育支援事業補助金」Q&A(PDF、令和8年4月1日時点)。
制度は改正されることがあります。この記事の内容は確認日時点のものです。